漁業戦士 厳太夢 「厳太夢海峡に出漁(たつ)」1-3
「!あれは雑魚!!」
雑魚は何かを探すように漁港の中を移動している。
「この船を捜している?」
何故か、零はそう思った・・・・。直感的に感じたと言った方がよいかもしれない。
漁協に入ってきた雑魚の2艘は、間もなく漁港の端に停泊している1艘の船を発見した。
「?あれだなぁ!大間漁協の新型は・・ど~らぁ。」
「おい!斜谷部会長は偵察だけと言っていた。写真を撮ったら帰るぞ!」
「うるせぇ!俺も斜谷部会長みたいに手柄を上げてやる!だまってみてろ!」
「おい!ジン!」
雑魚はまっすぐブルーシートがかけられた漁船に向かってきた。
「みつかった!」
零は漁船に乗り込んだ・・・。船室に入り計器を見る。
「こいつ動くぞ!」
零は付けられたままであったエンジンキーを捻る。
ぶるるるるるるぅん!
エンジンがかかり、アイドリングを始める。
零は急いで船室を出ると係留ロープを解いた。
「うぉ!動いたぞ! ちくしょー気づかれたか。こうなったら沈めてやる。」
神の雑魚は、新造船に向かって急加速し体当たりを仕掛けてきた。
体当たりは雑魚の得意技であった。これまで大間漁協はこの体当たりによる妨害で、マグロの群れの先頭に出ることができず、吊り上げることができないでいた。
「うおぉぉぉぉ!」
零は舵を切り船首を雑魚に向けてスロットルをあげる。
船首が強力なスクリューの回転に押されるようにして上がり、船が急加速する。
グワァァァァン!!!
船同士がぶつかった。新造船にかけられたブルーシートが飛ぶ!
バキバキバキッ!
雑魚の船首が潰れていく。
船体へのダメージは想像以上で、すでに機関部に水が入ってきていた。
「うぉぉぉ!何て装甲だ!こっこんなことがぁぁぁ~」
絶叫とともに雑魚は沈没した・・・・。
「このぉぉぉ!よくも“ジン”をぉぉぉ」
沈没した雑魚を見て、もう一艘の雑魚もこちらに向かってきた!
「ぶ・・武器はないのか?」
零が適当なボタンを押す。
ブシュ!
船首付近より小型のアンカーが飛び出した!
アンカーは向かってくる雑魚の手前に落ちる。
「他には何かないの?」
零は急いで手に持っていたマニュアルをめくる。
「これか!」
カチッ!
今度は船首が光りだした。大間漁協が開発した新機能「ビームサーベル」である。
本来は、波が荒く潮も速い津軽海峡を高速で進むことができるように、波をレーザーで切りながら進んだり、海に浮かんでいるゴミを切り裂いたりするためのものである。
「うぉぉぉっ!!」
零の船と雑魚が衝突する。
ジューーーン!
雑魚の船首が「ビームサーベル」によって一瞬にして切り取られる。
「おぉぉこれが大間漁協の新造船の性能かぁぁ!!!」
「斜谷部会長ぉぉぉぉ!」
船首を切り取られた雑魚は漁港に沈んで行った・・・・。
大間崎から海上約5キロの海峡上に1艘の雑魚がいた。
その船体は真っ赤に塗られており、機関部から出る煙突から部会長を示す角がついていた。
船室には髪を金髪に染め、サングラスをかけた男が乗っていた。北海漁協 一本釣り部会 斜谷部会長である。
「2艘ともやられたか・・・。組合長に私は大目玉だ・・。」
認めたくないものだな・・自分自身の若さ故のあやまちというものを・・・・。」
実は、この後の話しまでは書いてあるのですが、その後の実際
の出漁までの話はできていないのです。斜谷さんとの初対戦が
あるのですが・・・・。これをどっちに勝たせるかで悩んでおりまし
て・・・。
がいりますね・・・妄想をカタチにしているのですから。